7月28日
さまよえる人間−4 人間の身体こそが全宇宙の集合体


およそ2500有余年前、インドの大地で生誕した覚醒した人・ブッダによって
「人間の心には八十九の様態がある」と語られました。
私たちの作る社会の現象は、89の心の様態によって現れている、と説いているのです。
怒りは暴力という形に成って現れ、
憎しみは排除という形に成って現れ
慈しみは微笑という形に成って現れ
喜びは家族の幸福という形に成って現れ
散乱・懈怠(けたい)は狂気という形に成って現れるている、と。
心の浮つきが消え、しっかりと安定して落ち着いてくると
物事の成り立ちが写真を見るように見えてくるのです。
社会を作るのは人間の心の作用による現象体なのでした。

およそ一切の人工物は、人間の心の作用の結果なのです。
しかし、人工物に対して自然体は人間の心の作用を離れて存在する物です。
雑草の一枚の葉さえ、人間の作り出したものではありません。
このようなことは自明のことなのに、
日常生活のなかでは人間は自覚して、雑草のことなど考えてみたりはしないのではないでしょうか?
ことの重要性は、その足元にあるのに、なかなか人間は気づかないものなのです。
「この私」と今、仮に言っているこの身体こそが、人間の心の作用を離れた
非人工物なのです。自然の造物です。

解脱するとか悟りを得るとかは、仏教の確信ですが
そういうことは、おのがこの身体の成り立ちをしっかり省察し、認識することによって
成立するのが解脱の真意かと思います。
一つの塵の中にも宇宙の真理が見える境地に至るためには、
この身体をナノテクノロジーの更なる奥地へ心眼の光を射光させなくてはなりません。
そして人間には誰にもそのような感覚的直感が備わっているのです。
この人間の身体こそが全宇宙の集合体そのものなのです。
60兆個の細胞の集合体であるこの人間の身体こそが
ブッダの追及した世界の全体なのです。

 

(次回は1日の更新予定です)

>>さまよえる人間−1.アジア型思考様態
>>さまよえる人間−2.食と病の文明
>>さまよえる人間−3.「人間はなぜ生まれたのか」


囲む人々「一話一言」

疋田千秀「さまよえる人間」

「おもろい坊主を囲む人々」でつなぐ、一話一言。
日ごろのことを思いつくままに、気軽に書いていただきました。

第1回は、北茨城・佛等庵の疋田千秀さん。
タイやスリランカでの出家経験を持つ疋田さんから見た
最近の日本や世界の情勢を、落ち着いた目で描いていただきました。

全8話を順次、お届けします。