8月6日
さまよえる人間−6 未来という幻想


幾兆幾億年の生命の歴史を常に意識して、一日一日を生きよう。
世界がどのように見えるかは、自分の心がどのように動いているかの反映なのです。
人間の眼に視界があるように、人間の心にも<心界>というものがあるからです。
未来が明日にあるという考えは、大いなる幻想であることに気づきましょう。
未来は昨日の中にもあったし、今この瞬間のうちにもあるし
明日の明日のその明日にもあるし、また過去も現実も明日の中にも存在するのです。

なぜなら人間は輪廻し、宇宙は輪廻してとどまることを知らぬ無明の現象体だからです。
無知無盲のうちに行われる日常生活の結果、生まれてくる社会の現象は、
過去に行われた日常生活の繰り返しが、
時を隔てて明日という現象体を創り出すのです。

それは決して新しい発想ではなく、無量劫(非常に長い時間)に繰り返された
過去・未来・現在の集約された陳腐な未来という幻想なのです。
私たちはそのように陳腐な教養を身につけているに過ぎないのです。



仏教はインドの身分階級制度を
完璧なまでに否定しました。
人間の智は平等である。
ただ、その人その人が修学した
人間の真理に目覚めているのか
いないのかの差だけだ、と。

その人間の智は万人に等しく
内在しているのだと。

ブッダの智恵に遭遇した人間は幸いなるかな。
なぜなら、ブッダの智恵こそが人間を平等にし、
幾兆幾億の生命を自覚させ、生命の至福を与え、

この上ない安らぎを与えて、生命の苦の輪廻から解脱させてくれるからです。
それらのことは全てこの一個のおのが、身体の中で意識され自覚されるものです。
決して、他人の中や世界の中で起こる現象ではありません。



(次回は11日の更新予定です)

>>さまよえる人間−1.アジア型思考様態
>>さまよえる人間−2.食と病の文明
>>さまよえる人間−3.「人間はなぜ生まれたのか」
>>さまよえる人間−4.「人間の身体こそが全宇宙の集合体」
>>さまよえる人間−5.「無明のうちに生命は再生を繰り返す」


囲む人々「一話一言」

疋田千秀「さまよえる人間」

「おもろい坊主を囲む人々」でつなぐ、一話一言。
日ごろのことを思いつくままに、気軽に書いていただきました。

第1回は、北茨城・佛等庵の疋田千秀さん。
タイやスリランカでの出家経験を持つ疋田さんから見た
最近の日本や世界の情勢を、落ち着いた目で描いていただきました。

全8話を順次、お届けします。