囲む人々「一話一言」

ユージ「DEEP ROOTS」

 

Deep Roots はじめに

 

 

アメリカン・インディアンやアボリジニーなどの民族が守ってきた

シンプルで深い、自然に立ち向かう知恵と畏れ、

大地への尽きない感謝の心が世界的に見直されています。

そこにあるのは人類がこの地球に誕生した時に感じた原初の感情。

カタチの無い世界の遺産だと言えると思います。

 

そしてその遺産は彼らに求めなくても

本当は自分達が住んでいる場所にかつて息づいていたこと、

今もただ思い出してもらうために地球上の各地に

息を潜めていることも確かに言えると思います。

 

日本で生まれ育ち、

そして土に帰っていった幾代もの祖先が

大切にし残していったもの。文字にはせずに、

僕等子孫に伝えようとしたメッセージは確かにあります。

 

太陽を神と仰ぎ、

星の下で語らい、

月のリズムに暮らし、

海・大地を母と慕う。

そして

聖なる木・石を祭りながら、

火、風、水を友として生活した。

 

その生き生きとした残像は確かに残っています。

 

神道と仏教の深層に今でも隆々と流れ続ける太古の日本人の思いと共に、

世界中でキラキラと輝きだした魂達と

全く新しい交流をしていく時代が 来ているような気がします。

 

それでは、僕達の旅の話を聞いてください。

そして皆さんの旅の話を聞かせてください。


Deep Roots

 

 

古くからのの山岳信仰の対象となっている


ほら貝や山伏で有名な山形県の「出羽三山」をたずねました。


それにしても、「出羽」とはどういう聖地なのだろう。


羽の出ずる聖地。どうして羽?と長い間不思議に思っていた。

でも、最初の印象で、「あ〜、羽って感じがする」と思った。


なんとなく、ですが。

  羽黒山「出羽三山神社                      

「出羽三山は羽黒山、月山、湯殿山の三つ山の総称

開山は605年。第三十二代祟峻天皇の子、蜂子皇子による。

蜂子皇子は京都から海路、出羽国に入り、三本足のカラスに導かれて羽黒山に入山したとされる。


以後、修験道開祖の役小角、

真言宗開祖の弘法大師、

天台宗開祖の最澄、

加賀白山を開山した泰澄上人、

などなど日本の宗教的天才達も続々と来山して修行をした」。

以上は湯殿山の麓にあった「湯殿山のご由来」より抜粋。

意味が分かったような、分からないような・・・

月山(なんか剣山に似ている)

○世界を導くカラス・羽黒山

出羽三山、最初に行ったのは、「羽黒山」。

羽黒=黒い羽の鳥、それは三本足のカラスを意味し、

サッカーなどで有名な「ヤタガラス」を指します。

熊野で日本の創世記を導いたヤタガラスが、また導きの役割をもって姿を現した土地。

それが、「黒い羽が出ずる聖地」としての出羽。

今の日本と世界を導くカラスさんはどこかにまた現れているのだろうか。

また、アイヌとの関わり、縄文的な自然信仰も「羽」の一文字に込められているように感じます。

アイヌの熊送りの儀式などで使われる御幣は鳥の羽を模した『イナウ』と呼ばれる木の削り節。

『イナウ』とはアイヌの言葉で『鳥』の意。

『イナウ』を祭壇にたてて、『カムイノミ(祝詞)』を唱える。

そうすると『イナウ』は、その願いを持って天に昇っていく。

神社で神主がお祓いの時にふる『幣(へい・みてぐら)』も、

やはり羽根として解釈できる。

「祈りを天に届ける羽が出ずる聖地」、それが出羽。

再生の道

羽黒修験では、出羽三山を歩くことを「三関三度」と呼び、三つの山々を巡ることを、

現在、過去、未来の旅、つまり再生の旅と意味づけている。

自分の魂の永続性を感じながら、自分の心を歩む再生の道。

一歩一歩変わり続ける自分の奥に何も変わらない自分自身がいる。

以前に旅した青森への旅でも感じた、日本の新しい精神的な流れが、

ゆっくりと東北から始まるという、予感。

明治維新が西日本の男性的縄文魂の爆発だったならば、

今世紀の維新は、東北の女性的縄文魂の波紋のようにゆるやかな変革であるだろう、と・・・ 

創生、再生、維新の地、それが出羽という聖地のように思う。

○共生の信仰

山形はいまだにまたぎ文化が残っている。

そしてその文化は熊祭りなどを含み、アイヌの文化と酷似している。

熊送り、熊祭り。

命持つものすべて魂を持っていて、その魂は無限に循環していく。

「人間はすべての命と調和して生きていかなければ存在できないよね」、

というおおらかな知恵が、熊送りの信仰の中に含まれている。

生きとし生けるものがみんなで共生し、助け合いながら感謝の中で命を営んでいくという、

古代人が持っていた自然との共生観が、この出羽の地にも深く祈り込められているように感じた。

自分というものにもっとも忠実に生きたいと思うとき、それは民族のもっとも深い哲学の中、

思想の中、宗教の中で生きたいということと同義なんだ、と誰かが言っていた。

天と地ともう一度深い関係を持つための精神的な意味での

日本再生、世界再生
の一つの起点、拠点としての東北の役割を確認した旅だった。

人間が地球と共に再生していく、その祈りを天に届けてくれる羽 

湯殿山

芭蕉も「語られぬ湯殿に濡らす袂かな」と詠んだ

「言わず語らずのお山」。頂上では御神体ともろに対面できる。

カムイノミ いのりにうかぶ しろいはね

めぐるうちゅうの あおかぎりなく

 

<<バックナンバー>>
>>第1回 「Deep Roots 火」


>>第2回 「Deep Roots 鬼」


>>第3回 「Deep Roots 祭」


>>第4回 「Deep Roots 蛇」

>>第5回 「Deep Roots 米」

>>第6回 「Deep Roots 道」

>>第7回 「Deep Roots 石」

>>第8回 「Deep Roots 鈴」