新連載はナゾのペンネーム「センレック赤血球」がかく、
大きなタイトルで些細なことを描きます。
今回はベトナムだ!
「第十二号: ベトナムの深さ」
世田谷のお嬢さんの心の扉なんぞ、
一回もコジ開けられた事など無いので、
ムキになって、ベトナムに傷心旅行したときの話を聞かせよう。
烈火のごとくアメリカを叩き出し、
天晴れとばかりに共産主義を開放したベトナム。
以後、ソ連の崩壊で、「先生頼んまっせ!」と焦ったものの、
南国特有のマイペースで突き進む。
ロシアとフレンチが国際結婚したみたいな国。
そんなベトナムに、先日行ってきた。
「共産主義っぽいー」だとか、
「バイクだらけー」とか、
「アオザイがかわいいー」だとか、
「フォー(ベトナム風きしめん)が美味しー」だとか、
「ベトナム・コーヒー最高ぉー!」だとか、
「フレンチ風オープン・カフェってオシャレー」とか、
「メコンって壮大ぃーっ」とか、そういうお話はしません。
もーっと退屈な話を一つ。
何事も極限のモノにスポットを当てれば立派な「テーマ」になるのだ。
ついて来い。
ベトナムで一番驚いたのは、テレビ番組の洋画放送だ。
洋画放送に関しては世界でもトップクラスの変態日本で育ち、
現在バンコク在住ですんで、
「そんなこと、できまっかいな」と喋るダニー・デビートや、
「アニーアライ、ニャ?」と喋るサミュエル・ジャクソン・ジュニアとかには
慣れているのですが、
ベトナムの洋画放送には参った。。。
どゆことになってるかと言うとですね、、、
お姉さんが一人でシナリオを朗読してるんです。
しかも英語本編の音声そのまんま
ボリュームを少し絞った状態で上に重ねてるのです。。。
ワタクシが見たのは、銃撃戦も交わされる、
お美しい女性が活躍するドンパチ・チャンバラ映画。
舞台はメキシコっぽい。
なぜ、元の音声を消さずに「若干絞る」だけで、
朗読を上から重ねているのかと言うと、
効果音も一本のオリジナルテープに乗っかっているからなんでしょう、きっと。
新たに効果音を再録する予算も時間も無いのだろう。
しかし、「扉の閉まる音」や「足音」「グラスをテーブルに置く音」など、
普段気にかけないような音も、小さく絞られているとかなり悲しい。
臨場感全然無いんです。
その上に、無機質な女性の声でひたすらに「朗読」が続く。
ヒゲのオヤジがビールを口からこぼしながら威嚇している叫び声も、
「部屋で待ってるワ」(←予想)と誘うキレイな彼女も、
保安官も、バーテンのオヤジも、娼婦も、流れ弾に当たって苦しむ子供も、
そこで泣くおかーちゃんも、みーーーーんな同じ声なんである。。。
そんな「朗読の声」だけが画面の表面に平べったく張り付いていて、
非常に耳障りなのです。
そして絞られた効果音は隣の部屋からの雑音のような感じで遠くに聞こえる。。。
銃撃戦で入り乱れている時の、声のお姉さんは、
一体どういう気持ちで盛り上がっていたのだろうか?
「えい!」「やぁ!」(←主役の声)
「うわぁ!」(←やられ役の声)
「こっちは任せろ!」(←仲間の声)
「よし、任せた!」(←主役の声)
「うわぁ!」(←やられ役の声)。。。。
まだまだ奥が深いぞ、ベトナム。
次号はもっと奥地に潜入する。
<バックナンバー>
第一号 接触事故
第二号 黄金魂(ゴールデン・ファンク)
第三号 プラチナム・プライドの葛藤
第四号 プールサイドの憂鬱
号外!!!
第五号 幾何学の虜
第六号 焼肉思索
第七号 検査結果
第八号 お掃除♪
第九号 足首骨折男
第十号 決壊と漏電の夜
第十一号 広い世界