センレック赤血球の宇宙旅行 〜地球編〜

 

新連載はナゾのペンネーム「センレック赤血球」がかく、
大きなタイトルで些細なことを描きます。
今回はちょっとした出会いにやけに興奮!?


第十九号: 恐竜よりも怖いもの 」

 

先号で約束した「故らも氏による旨い酒の飲み方」ってのはどうやら
「かねてつデリカフーズ」のライセンスに引っかかるということで、
涙のカットだ。

そんなことより。

センレックの怖いものリストの一番はやっぱりみんなと同じ
「ティラノサウルス」なわけであるが、その次に来るのが、
またほとんどの皆さんと同じく「宝石屋のおばさん」ってのが来る。
一番の「ティラノサウルス」にはめったに出会わないが、
「宝石屋のおばさん」はバンコクのそこらじゅうに存在する。
ある意味一番危機感を感じやすい強敵だ。
すべての「宝石屋のおばさん」がそうだとは言い切れないのだが、
以下それを、典型的なパターンに合わせて考察する。

あの化粧センス、
あの髪型センス、
あの衣装センス、
あの表情、
すべてが怖いんであ る。
お店を持って商売をするというのは、つまり「釣り」と似たようなもので、
餌にかかる獲物を待つんである。
「釣り」にもいろいろスタイルはあるのであろうが、
宝石屋のそのおばさんの目は、売り物単価が低くないので、
客を値踏みしながら「獲物」待つことになる。
その値踏みの視線がおばさんをあのように怖い存在にしているのだろう。
しかも、もっと怖いのは、まだ目くじらを立てて、客を値踏みできるうちは、
「元気があってよろしい。」んだが、
そのうち、宝石を買う客なんてそうめったに来ないワケですから、もう、
半分視覚と脳味噌の神経線を切った状態のうつろな目になってくるのである。
眼球内の網膜に前を通過する人々の映像を映すだけの瞳である。
そして、飛行機の自動操縦のように、客の値踏み行為も「自動操縦」に任せるんである。例えば、空港でスーツケースの中のX線・チェックしている
オフィサーは全体像をしっかり見ないんですね。
「こんな形した」という知識ストックに照合できる部分が来た時にだけ
「脳味噌がオン」になるようになっているわけです。
そりゃそうです、毎日何千もの似たような映像を見るわけですからね。
そんな感じの自動操縦で死んだ目をしている宝石屋のおばさんが一番怖いんである。
煮えたぎる物欲と金銭欲の鍋に冷たい鉛のふたをしたような、あの静かな瞳だ。
しかも煮えたぎる鍋の中の欲望は上手に隠されてはいない。
化粧、髪型、服装、全てに現れているんである。
恐るべしだ。
目だけが白濁した始祖鳥だぞ。怖いだろう。

だいたいのケース、隣には、痩せ細ったハゲオヤジも座ってるんだが、
彼なんかは、まだナマッチョロいんである。
商売相手を小さく騙す程度の小ズルい程度の知能しか無く、家に帰れば、
恐ろしい顔をした始祖鳥の尻に敷かれ、
しこたまコキ使われるだけの奴隷なんである。
やはり恐るべしはあの、原色趣味とあのヘアスプレーで
大きく周りを威嚇する始祖鳥なのだ。

センレックは宝石には興味無いんで、外から見るだけなんではあるが、
それでも、その澱んだ網膜レーダーに自分が傍受された時の恐怖は、
ロシア上空で背後から迫る中国戦闘機にロックオンされて警告音が解除されず、
急遽アフガンの方向へしか逃避できないアメリか戦闘機の体験と似た
悪寒が走るのである。

一番怖いだろうと予想されるのは、仮にボクが入店して、彼女のレーダーが
「可能性アリ!」と何かの間違いで判断した時、
ついに、その冷たい鉛の蓋を、欲望のグラグラと煮立った鍋から外すわけだが、
その豹変の表情を目撃してしまうのが一番の恐怖だと確信に至るのである。

果たしてティラノサウルスも
「宝石屋のおばさん」にはかなわないのではないだろうか。


<バックナンバー>
第一号 接触事故 


第二号 黄金魂(ゴールデン・ファンク)

第三号 プラチナム・プライドの葛藤

第四号 プールサイドの憂鬱

号外!!!


第五号 幾何学の虜

第六号 焼肉思索

第七号 検査結果

第八号 お掃除♪

第九号 足首骨折男

第十号 決壊と漏電の夜

第十一号 広い世界

第十二号 ベトナムの深さ

第十三号 刺身定食の高いほう

第十四号 モッツァレラ・チーズの後味

第十五号 失恋、そして旅立ち

第十六号 混血の興奮

第十七号 生態観察ゴリラ編

第十八号 求む!釈迦のメルアド