新連載はナゾのペンネーム「センレック赤血球」がかく、
大きなタイトルで些細なことを描きます。
今回はちょっとした出会いにやけに興奮!?
「第二十二号:前立腺肥大と脱腸」
オランウータンがペリカン便のポロシャツを着ているだけで、 日本通運の社員に見えるように、 ダチョウが紫のスーツを着るだけで営団地下鉄の駅員に見えてしまうように、 プードルが喪服を着ているだけで、葬式帰りに見えるように、 カメラマン用のジャケットを着ているだけで、フォト・ジャーナリストに見えてしまう男が、 ここバンコクに、居る。 彼の名をここで仮に「前立腺肥大」としよう。 何故なら彼こそ、このセンレックのことを「脱腸」と呼んでいるに違いないからだ。 さて、その「前立腺肥大」とまた例のごとく、夜の街に繰り出した。 今夜の目的地は渋い。 ホアランポーン近辺で天秤を担いで「ソムタム」を売るエリアのハシゴだ。 そこにはどうやら、えっさ、ほいさ、と天秤を担ぐソムタム売りのおばちゃんが 路面にゴザ敷いて集合しているらしいのだ。 まずその前に、「ソムタム」だ。 「ソムタム」とは、青いパパイヤの千切りと、唐辛子と、多量の味の素と、 ナンプラーと、生の磯カニなどを、鉢の中で叩いて混ぜるという、 世界の味覚の常識を打ち破る、非常識な食べ物だ。 何故、我々が、その非常識な「ソムタム」を売るエリアのハシゴかと言うと、 それらは、ただのソムタム売りでは無いからだ。 何が特別かと言うと、ソムタムの非常識ついでに「カラダ」も売っているというこれもまた、 非常識の上に「ウルトラ」が付く。 で、我々が非常識の上塗りで、そのおばちゃんの「カラダ」をソムタムごと買うかと言うと、 そこまで人生行き詰っていないという中途半端な人生に少し反省するのだが、 病気が怖くてナンボじゃい! バケモノを抱くのがナンボのもんじゃい! と達観できる日を夢見ての恐る恐るの社会見学だ。 写実派のセンレックは、ソムタムの味と闇に浮かぶ怖い化粧のおばちゃんと、 ゴキブリとのトリプル恐怖で、脳味噌は硬直するのだが、 ロマン派詩人「前立腺肥大」は、興奮気味に、 「この交通量の多い車道に挟まれて、ソムタムの集まっている中央分離帯一帯を、 アイランドと見立てて、写真を撮って、、、 そうだなー、あそこからのアングルで、ここらへんまで入れて!で、 都会に浮かぶ貧しい階級の孤島!そんな感じのイメージで。。。」と、 やはり脳味噌の左半分が腐っているのだ。 写実派センレックの理解を超えた世界観に妙に感心しつつ、 「前立腺肥大」の興奮状態を冷ややかに眺めるセンレックの夜は、孤独だ。 ちなみに、彼はその後「ソムタム・カラダ」売りのおばちゃんの 実家里帰りの旅をドキュメントする!っと酒で充血した目を剥き出していた。 で、センレックが冷静に「何で?」と知的に、 かつ冷静に鋭い質問を振るったのだが、 「料理ネタだよ!料理!ほら!」と非常識な答えを返してきた。 いつか、どこかの雑誌でタイ料理の特集が組まれ、 かつ、それがソムタムであり、売春のネタも絡んでいたならば、 それは「前立腺肥大」の仕事だということだ。 彼の夜明けは遠い。。。 そしてソムタムの夜明けも遠い。。。
<バックナンバー>
第一号 接触事故
第二号 黄金魂(ゴールデン・ファンク)
第三号 プラチナム・プライドの葛藤
第四号 プールサイドの憂鬱
号外!!!
第五号 幾何学の虜
第六号 焼肉思索
第七号 検査結果
第八号 お掃除♪
第九号 足首骨折男
第十号 決壊と漏電の夜
第十一号 広い世界
第十二号 ベトナムの深さ
第十三号 刺身定食の高いほう
第十四号 モッツァレラ・チーズの後味
第十五号 失恋、そして旅立ち
第十六号 混血の興奮
第十七号 生態観察ゴリラ編
第十八号 求む!釈迦のメルアド
第十九号 恐竜よりも怖いもの
第二十号 カイジャオ十二指腸
第二十一号 タクシー選び