センレック赤血球の宇宙旅行 〜地球編〜

 

新連載はナゾのペンネーム「センレック赤血球」がかく、
大きなタイトルで些細なことを描きます。


「第三十五号: 冷蔵庫」

 

ツツツー・ツ・ツッツツーツーツーーツツ・ツ
ツーツーーーーー。
ツ。 

意味のわからない人は、前号を読んでいただきたい。

さて、バカ話はこくれくらいにして。
和尚から、信じ難いオファーを頂いた。 

「即刻、早朝バスに2時間乗って、寺に来い。
そして寺の前の電気屋で新しい冷蔵庫を買って、部屋まで運んでくれ。
 その後、オレの昼飯をシーフードでもてなしてくれ。」という内容だ。 

普通の人間がこれを聞いたら、まず「バカなことを言うな」
と断っても道徳的に差し支えないだろう。 
そこを、外堀から徐々に封印するスケベな徳川家康の如く、
最終的に自分の思い通りのシナリオを完成させるエロビデオ監督のような手際で、
和尚の筋書き通りに我々に始末させようという魂胆だ。 

烈なる抵抗も虚しく、そのオファーからわずか2日後、
早朝の長距離バスに乗っているセンレックと磯ぜせり氏、
そして新キャラクターの名古屋氏、の不機嫌な3名。
和尚のシナリオ通り寺に到着したのが、朝10時。 
そこからまずは寺のナナメ向かいの電気屋に向かった。 

不機嫌なセンレックはスケベ・サングラス。 
不機嫌な磯ぜせり氏もスケベ・サングラスにスケベ・ヘアースタイル。 
そして不機嫌な名古屋氏は長髪にヒゲにレイバンのビンテージ・サングラス。 
もちろん、ご機嫌な藤川和尚はギラついた眼光にスキンヘッドだ。 
つまり、3人の若い衆を連れた組長が、
電気屋の手入れに入ったような雰囲気だと想 像していただければいい。 
電気屋のオバちゃんも緊張の様子だ。 

そして、全員自分勝手ですので、和尚の冷蔵庫選びなんかそっちのけで、
その電気屋のカワイイ看板娘の電話番号ゲットにいそしんだ。
その後ろで和尚が「これはちょっと小さいわぁ。」とか
「ここまで大きくなくてええのよ。」とか言っていたような気がするが、
我々若い衆全員、女の子に夢中だったので憶えていない。
とにかく、どういう経緯なのかわからないけれど、
テキトウに選ばれた冷蔵庫が、テキトウにトラックに搭載された。 

電気屋の兄ちゃんの運搬により、寺の和尚の個室の前にまで到着。 
しかし、和尚の部屋は随分と散らかっているではないか。 
あまりにひどいので、見かねて
「和尚、こりゃぁ随分散らかってますねぇ。どこで寝るんですか?」
と敬意を込めて言い放った。 
和尚曰く「人間なんて一畳のスペースがあれば寝れるんじゃ。」
と言っていたが、そこには「畳一畳」の隙間も無い。 

つまり和尚はここでは寝ないということを言いたいのだろうか? 
それともセンレックは素直に語意を取り過ぎているのだろうか? 
それとも和尚は論理的合致に興味ないのだろうか? 

まぁ、いい。

その後、
「少し行ったところに美味しいシーフード・レストランがあるのや。」
と言うので期待に胸を膨らませて行った。 
確かに旨かった。 
しかし、ちょっと驚く金額だった。 
我々若い衆3人は、動揺を隠さず、素直なケンカ口調で、
誰のオーダーが高かったのか緊張の走る会話へと雪崩れ込んだ。 
オマエのビールのせいだとか、オマエのカニだろうだとか、
オマエのエビの殻の量を見ろ、だとか言う罵りあいをよそに、
和尚は、爪楊枝をシーシー言わせながら、
待たせてあるドライバーの方へ無関心な潤んだ瞳を向けていた。 
結論として、和尚が黙々と喰っていたカニが一番高いという事で和解。
「またしてもコイツか」という我々の視線に和尚自身が気が付いていたかどうだか。 


冷蔵庫を設置する若い衆「名古屋氏」と、半裸状態で足ぞうきんをかけながら、いろいろうるさく命令する和尚。
(写真提供・磯ぜせり氏)


<バックナンバー>
第一号 接触事故 


第二号 黄金魂(ゴールデン・ファンク)

第三号 プラチナム・プライドの葛藤

第四号 プールサイドの憂鬱

号外!!!


第五号 幾何学の虜

第六号 焼肉思索

第七号 検査結果

第八号 お掃除♪

第九号 足首骨折男

第十号 決壊と漏電の夜

第十一号 広い世界

第十二号 ベトナムの深さ

第十三号 刺身定食の高いほう

第十四号 モッツァレラ・チーズの後味

第十五号 失恋、そして旅立ち

第十六号 混血の興奮

第十七号 生態観察ゴリラ編

第十八号 求む!釈迦のメルアド

第十九号 恐竜よりも怖いもの

第二十号 カイジャオ十二指腸

第二十一号 タクシー選び

第二十二号:前立腺肥大と脱腸

第二十三号:失恋2 やっぱり失恋。。。

第二十四号:韓国式!ボードゲーム三昧の週末

第二十五号:おひねり

第二十六号:中華製知的老人

第二十七号:中国本土決戦

第二十八号:上海で死刑

第二十九号:打ち首獄門的勝利

第三十号:義足を枕に

第三十一号:モルヒネ過剰摂取ポンタリンとドーパミン過剰放出アリナミンの夜

第三十二号:放し飼い禁止和尚

第三十三号:全治2ヶ月氏、まだまだ完治の見込み無し


第三十四号: お花畑で授業♪