センレック赤血球の宇宙旅行 〜地球編〜

 

新連載はナゾのペンネーム「センレック赤血球」がかく、
大きなタイトルで些細なことを描きます。


「第四十三号: ムーカタ」

 


ムーカタ。
ムツゴロウ(ヒト科のほうでは無く、魚類のほう)の存在する有明海の遠浅が夕日に赤く映える風景が見えてきそうだが、
そんな典雅なものではない。

これは、タイ料理のひとつだ。
くだらなすぎて、ガイドブックにも載らないくらいの、ひでぇ料理だ。
ジャパン的に言うと、ジンギスカンの半球型の鉄板と、ドーナッツ状の汁物の鍋の複合料理だ。
まぁ、だいたい、こういう、チンケな複合発想は、崇高でありえない。
貧乏人が、ギターを買うとき、エレキにしようか、アコースティックにしようか悩み、
ついには、両方いける「セミアコ」を買う心理に似ている。
しかし、それは本当のアコースティックにもなりえないし、本当のエレキにもならない。
つまりは貧乏人の発想だ。

ムーカタに戻ろう。

つまり、その極貧な発想の極地に到達する、世界最高の志(ココロザシ)の「低さ」を誇るムーカタを食べた。
しかし、味はというと、これはなかなかいけるのである。
そりゃそうだ、あれだけ「味の素」を使えば、スリッパでも美味しく喰えるはずだ。

中央に位置する半球体の上に、「一体コレは何肉だよ?」と不安になるくらいに正体不明にまでマリネされた肉を乗せ、焼く。
「一体全体、どんな肉がそんな値段で供給できるんだよ?」という、不自然な安さで提供される肉だ。十分に焼かなくてはならない。出来ることなら、炭になるまで焼いて、捨てた方が健康にいいのではないだろうか、と思うくらいである。

その半球体の周りには、ドーナッツ状のプールがあり、そこは野菜をグツグツ煮ることが出来る鍋である。
野菜はというと、もう完璧に農薬漬けのシャブ中だ。
撒布された農薬は外に付着し、同時に、注射針を使って野菜の芯に注入されるらしいので内部も危ない。
ということで、ちょうど中間層あたりの葉野菜を選ぶ。
それでも不安なので、グニャグニャになるまで煮る。
これも、煮込みきって、ヘドロにした後、廃棄したほうが健康に良いにきまっている。

健康を考えると、このムーカタ自体を壊滅させるしか方法はない。
悩んだあげく、喰うか喰わないかの選択を迫られる。
食べるために、レストランに入って、
最後の最後まで、「喰う、喰わない」を悩ませる料理というのは、
そう、なかなか無い。
たいしたものだ。

そしてこれは、当然のことながら、大汗をかきながら、喰うのである。
南国の灼熱気候の下、こんな炭火、遠赤外線を浴びながら喰うのだ。
こういうナンセンスな料理は、最低の人脈と喰ってこそ、である。
「こいつとは、いつ切れてもいい。」というくらいにどうでもいい人選が必要だ。
そして、今回、お互い合意のもと、選びあったコンビネーションが、
磯ぜせり氏と、名古屋氏(第三十五号で登場)だ。
この3人、和やかに同じ鍋をつついたが、この関係がいつまで続くか。
読者諸君も楽しみに見守っていてほしい。








写真提供(磯ぜせり氏) 見よ!このヘドロ状態!


<バックナンバー>
第一号 接触事故 


第二号 黄金魂(ゴールデン・ファンク)

第三号 プラチナム・プライドの葛藤

第四号 プールサイドの憂鬱

号外!!!


第五号 幾何学の虜

第六号 焼肉思索

第七号 検査結果

第八号 お掃除♪

第九号 足首骨折男

第十号 決壊と漏電の夜

第十一号 広い世界

第十二号 ベトナムの深さ

第十三号 刺身定食の高いほう

第十四号 モッツァレラ・チーズの後味

第十五号 失恋、そして旅立ち

第十六号 混血の興奮

第十七号 生態観察ゴリラ編

第十八号 求む!釈迦のメルアド

第十九号 恐竜よりも怖いもの

第二十号 カイジャオ十二指腸

第二十一号 タクシー選び

第二十二号:前立腺肥大と脱腸

第二十三号:失恋2 やっぱり失恋。。。

第二十四号:韓国式!ボードゲーム三昧の週末

第二十五号:おひねり

第二十六号:中華製知的老人

第二十七号:中国本土決戦

第二十八号:上海で死刑

第二十九号:打ち首獄門的勝利

第三十号:義足を枕に

第三十一号:モルヒネ過剰摂取ポンタリンとドーパミン過剰放出アリナミンの夜

第三十二号:放し飼い禁止和尚

第三十三号:全治2ヶ月氏、まだまだ完治の見込み無し

第三十四号: お花畑で授業♪

第三十五号: 冷蔵庫

第三十六号: ネタ探し、宇宙の旅 VOL.1

第三十七号: 白桃ちゃんと8番ラーメン
第三十八号: 失恋3 やはり撃沈。
第三十九号: ネタ探し、宇宙の旅 VOL.2
第四十号: 最後の青春
第四十一号: バンコク大学
第四十二号: 新年の飲茶