活動報告

北茨城「芸術群」を坊主と歩いた3日間--人生計画的に考えなくていいのだ

またもや、雨。藤川和尚との旅はいつも雨で始まる。いや、天気などは関係ない。雨が降ろうと槍が降ろうと、藤川さんはいつでも渋ガキ色の袈裟に身を包み、私たちの一歩先をせわしげに歩いていく。
 今回の2泊3日の北茨城の旅も例に漏れず慌ただしかった。前回と違うのは初来日のタイの住職ピーノさんも一緒だということ。しかし藤川さんはピーノさんに気を遣うでもなく、マイペースにコトを進めていく。


 さて、東京駅から高速バスで約3時間、磯原という町で下車。藤川さんにピーノさん、その他4名をお迎えに来てくださったのは、私たちが寝泊まりする「佛等庵」の庵主、疋田千秀さんと画家の小板橋さん。疋田さんはタイで3年出家され、さらにスリランカにも坊主として1年間過ごしていらっしゃったという経歴の持ち主。タイで藤川さんとお知り合いになったそうだ。類は友を呼ぶといっていいのか、小板橋さんもまた坊主っぽい雰囲気。ガッチリとたくましそうな方だ。二人とも柔和な表情にお人柄がにじみ出ている。挨拶もそこそこに地元スーパーで私たちのお酒とつまみを買い出しし、2台の車に分乗し「佛等庵」目指して出発した。

微に入り細をうがつまで私好みの「佛等庵」
 深い緑が美しい山道を、40分ほど揺られて到着。「佛等庵」では疋田さんの奥様、紀子さん(私と同名!)が歓迎してくれた。とりあえず荷物を置き、今晩のおかずを隣の「山形養魚場」にて物色。メニューはヤマメの塩焼きとニジマスの刺身に決定。
 紀子さん「あんたら、サカナの処理できるかね?」
 主婦を含めた私たち二人の女子「いえ、できません」と即答。
養魚場のおかみさんに処理してもらい、串まで刺していただくこととなった。
 魚の支度ができるまで、「佛等庵」で疋田さんが入れてくれたチャイを飲みながら、本堂脇のテラスでくつろぐ。ほんわかした西日が心地いい。寒そうにしていたピーノさんもここならなんとか我慢できそう。目の前には豊かな緑に小川のせせらぎ。八重桜がまだピンク色を残しているかと思えば、ブーゲンビリアのような赤紫の山ツツジが咲き誇っている。ケータイも通じない、本当の生活が実感できる理想の郷だ。
 この本堂は牛小屋を改築したそうだが、天井が高く、鎮座する佛様も居心地よさそう。入口に掲げられている掛け軸と小さな器に活けられた八重山吹の楚々とした姿、藤のつるを和紙に絡めて作ったという照明など、置いてある小物すべてが空間にしっくりしていてとても素敵。ふわ〜っと魂が生き返る。
 魂が呼び覚まされるような場所は他にもあった。「佛等庵」から車で数分の森。樹齢何百年という木々をはじめ、濃淡それぞれの緑が生い茂っている。藤川さんいわく「木に耳を近づけてみい。中を流れる水の音が聞えるやろ」。うーん、聞えなかったが、ひとときの森林浴に満足、満足。

待望の夕食、最初は庭で炭火を囲んで。小板橋さんと小板橋さんの奥さんで裂き織り作家の恵さん、そしてちょうど北海道からいらしていた恵さんのご両親もご一緒に、初日の夜はかなり楽しい夕べとなった。屋内に入ってからも宴は続く。たらふくお酒を飲んだあと、刺身にしたニジマスのアラ味噌汁を飲む。絶品。

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