これは、11月12日に行われた
ロングステイの会での講演用の原稿です


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今晩は初めまして。今夜は『タイロングスティ日本人の会』の
月例会(二水会)にお招き頂き有難う御座います。
私、11年前の51歳のときに、縁あってペプッリ県のタムケウ寺で出家させて頂き、
現在はサムットソンクラム県のタラートメクロンにあるポムケウ寺で、
上座部仏教の修行をさせて頂いている、京都生まれの藤川清弘、
出家名をチンナワンソという坊主です。

 私の帰依するブッタは、貪り、怒り、痴さ(おろかさ)を、
人を不幸にする三つの根本原因、即ち三毒として戒めておられます。
が、今夜はあえて怒りの一種である私の愚痴を皆さんに聞いて頂きたく、
ここに参りました。

今夜お集まりの皆さんはロングスティを目指され、
このタイ国にお出でになった方々だと伺っています。
母国を出て外国で老後を送りたいと決心さるには、
それぞれ色々な理由と目的がおありだと思います。
しかし最近、『日本で年金だけで暮らすのは大変だが、
タイは物価も安いし、日本と同じ仏教国で人々の性格も温和だし、
東南アジアの中では比較的政情も安定している』といううたい文句に釣られ、
表面だけ、良いところだけを見て、タイ社会の実情もタイ人の伝統も
習慣もろくに勉強せずに、
『月に15万円も有れば贅沢に暮らせる』
『1000万円も出せば豪華なマンションが買える』と、
まるでバラ色の老後が約束されているとでも勘違いして
タイに来られる人が増えてきました。
そして、日本のテレビを見て日本の新聞を読み、
日本食を食べ日本人同士で集まり、タイの伝統や文化、習慣、
人々の日常生活の実態を学ぼうとも知ろうともせず、
『俺は金持ち国から来た日本人だ。
俺はこのタイで優雅な老後を送れる金があるのだ』という態度で、
大きな顔をしてノサバリ歩く日本人が、ここへ来て急に増加してきたのです。
私の話したい愚痴というのは、このことについてです。

 ここまでの話を聞いて
『自分はそんな気持ちで、タイでのロングスティを決めたわけではない』と
気分を害された方がいらっしゃるかも知れません。
私も出家前は『金さえあればこの国で怖いものは何も無い、
女だって、ビザだって、警官だって、裁判官だって、
必要とあれば人の命だって買える』
と広言し、大きな顔をしてバンコクの街を歩いていた身、
決して偉そうな事を言えた身ではないのです。
しかし、今日ここで皆さんとお会いできたのも何かのご縁、
もう少しこのおろかな坊主の話に、おつきあい頂ければと思います。
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