パンサーとは日本佛教で言う雨安居のことで、原始仏教が興った頃の インドでは、出家修行者は一ケ所に定住せず、一所不住の遍歴托鉢の 修行生活を行っていて、当時のバラモン教や諸宗教の遍歴行者は雨季 に入ると“雨季には虫類が繁殖し、草木や若草が発育する時期である ので、その時期に外を出歩いて、それらの微小な動物や植物を押しつ ぶすのはよくない”と考えて、雨季の時期は遍歴をやめ一ケ所に止住し、 もっぱら瞑想修行につとめていた。 釈迦尊もこの制度を取り入れられ、比丘は雨季のあいだは一定の所に 止住して定住生活『雨安居』する事を定められた。 この『雨安居』の習慣は南方上座部の出家者によって、今日でも厳格に 守られていて、この期間中は比丘の不要・不急の外出・外泊は制限され、 所属サンガの長老(僧院長)が緊急かつ重要と認めたときだけ、一週間 以内の外泊が許される(この制度をサタナハンと呼ぶ)。 上座部佛教ではこのパンサーを何回経たかで、5パンサーとか 20パンサーとか、出家経歴年数が数えられ、10パンサーを超えると 長老と呼ばれ、パンサー経験年数の多い比丘ほど上座に座することになっている。 このパンサーは、タイ陰暦8月の満月の明くる日(今年は7月11日)から 3ケ月間(今年は10月7日まで)行われ、タイではこの期間に一時出家し、僧院で 比丘として修行生活を送るのが、出家によって得られる功徳が最も大きいと されていて、一時出家する若者もこの時期が一番多く、7月の声を聞くと 民族衣装で着飾った若い娘さんや、賑やかな楽隊に囲まれ頭を丸め白い衣 を身にまとい、得度式に向かう晴れ姿の若者姿が、タイ中のアチラコチラ で見られます。 タイでは旧年度(昨年)のパンサー期間終了日(オークパンサー)から、 新年度(今年)のパンサー入り(カウパンサー)の間に出家し、僧院に 残っている比丘(即ちパンサー未経験の比丘)および新人比丘は、この パンサー期間中の3ケ月の間、僧院で先輩比丘から佛教論理・教法・教 理・戒律などの講義を受け、パンサー期間終了日の前日に、タイ全国の 僧院で一斉に行われる試験を受け、パンサー明けの日(オークパンサー) に、僧院長から3ケ月間の修行を終えたことを証明する『修了証』が授 与され、それぞれが還俗し社会へ戻っていく。 授与された『修了証』は宝物として、家の中の一番目立つ場所(例えば 仏壇の横とか客間)に一生大切に飾られる。 毎年そのまま還俗せずに僧院に残り、何年か(幾パンサーか)修行を続 ける比丘も何人かは居て、中にはそのまま生涯を比丘として僧院で過ご す者もある。 |