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『肥満についてのつれづれ』 Hさん お元気ですか? 私は相変わらず「娑婆」で放浪しています。 ふと、シャバダバダというスキャットがフラッシュメモリーのように過ぎりました。 仏映画「男と女」で繰り返し唄われていましたが、 「娑婆」とは全然関係ありませんよね? すみません、愚問でした。 さて、年頭に藤川さんから祝詞に併せ、「オモロイ〜」のHPで紹介したいので 何か面白いものを書いて欲しい旨ご依頼がありました。 そもそも現在掲載されているものは、 昨年にHさん宛てたお手紙を藤川さんご本人にも愉しんでいただこうと思い、 写しをお送りしただけで、 HPに転載されるなどということは毛頭考えも及ばないことでした。 関わりのない大勢の方々に自分の文章が読まれるのは、とても勇気がいることです。 加えて衒いや媚も避けられない。 いずれにしても、各人笑いが少ないのだと勝手に思い込むことにし、 難しいご注文をお引き受けすることにしました。 このお手紙も内容・体裁はどうであれ、 インターネットの調子が更に悪化しないうちに早めにコピー送ることにします。 ご担当の方が多少なりとも真意を理解し、 適当に直してくださるものと信じます。 書いている最中すら気持ちや考えは違ってくるくらいですから、 書き終えたものは既に過去のもの、HPからはなるべく早く消えて欲しいと願いながら。 今回は「肥満」について思うまま書きます。 ご期待に添えるほどの笑いはないかもしれないです。 所詮“見かけ”の部分です。読み流してくださいね。 投薬治療9ヶ月目。 薬の副作用も様々出ております。 個人差もありますが、私の場合は、熱・頭痛、関節の痛み、髪の脱毛、鬱のほか、 睡眠・食欲不足は避けられず、体重も10キロくらい減りました。 2ケ月前に更に5キロほど減った時には、額のところに骨や血管が表れたりして、 さすがに体力も激減。皺皺です。 押しも押されもせぬ中年太りでしたので、 スマートになって20年前の洋服が着られるになったり、血圧が下がったりで、 悪いことばかりではありません。 でも、自分に合った体重はあと3kg増かなと都合よく想ったりしていたりしています。 丸い体型はイスラム圏では富裕層である証拠、 旧知のカタール人は、彼自身幼少時から海外で教育を受けたこともあり、 欧米人同様、食事に気をつけていて中肉中背。 しかし、幼な馴染みの奥様は超ビックと伺っています。 ピーク期の私を見ても動ぜず、もっと太ったほうがいい言っていたくらいなので、 体重が増えても心強いです。 今日は、デパートの催事場で200kgくらいはあるだろうという女性を目にしました。 KONISHIKIさんの体重は、公式発表はないので不確かですが、 大体300kg以上? いずれにしても4t.トラックに乗れば、 左右の揺れはかなり激しいと思います。 そしてこのお二人が乗れば、もう車は発進しないということなのでしょうか? この日本人の女性は、背が高く、脚も長くて、堂々としているから格好もよいのです。 おでんの具でひし形のこんにゃくに串をさしたような体型を想い浮かべてください。 アメリカの都市部では何人ものトンガ級サイズに会っているし、 これ以上太ると生命も危ない、食べ物が消化しないよう、 胃にバイパスを通す手術が多いというTV報道を見たりもしていましたので、 かなり太っている人を見ても驚くこともないのですが、 東洋人でもそのクラスの人がいたことに私なりのびっくりでした。 (一度、ボストンの警察署で、今くるよチャンx 4体くらいに太っているだけでなく、 二つの胸がお臍辺りまでループ状に下がっている人---男性ですよ---に遭いました。 30年経った今も、その人の歩き方、甲高い声、目の動き、 着ていた茶のTシャツなど忘れられないです。) そのほどの巨漢になると、やっぱり食べる欲求もそれなりにあり、 甘いものが好きなのでしょう。 ケースのなかのケーキを熱心に覗いていらっしゃいました。 周りは私同様初めてみる光景に口をあんぐりさせていますが、 ご当人はもう慣れっこなのか、まったく人目を気にしていない。 人間臭くていいなあ、と羨ましく感じました。 病院では痩せた人に目が慣れていて、久しぶりに生命力に触れたような新鮮さでした。 世に肥満に悩む人が多いのはなぜでしょうか。 第一、太っているという基準、要因は? 数年前ボリショイ・バレエ団員の肥満による解雇が話題になりました。 一般の人間からみれば肥満などとはほど遠い印象のバレリーでも リフトをする男子ダンサーにとっては負担だという。プロは厳しいです。 ボリショイでは入団試験のときに両親も面接をするという話を聞いたことがあります。 結局DNAの問題なのでしょうか。 美食のツケ、自己管理の問題という批評家もいますが、 お水だけでも太ってしまう人さえいるのですから、そうに違いないと思います。 ところで、楊貴妃もハムレット(フィクションの人物ですが)も 太って汗かきで困っていたらしいです。 想像するだけでクスっとしてしまいませんか。 グラマーな美女はともかく、 生死の窮地にある王子は蒼い顔をした細身でないとイメージが狂います。 それもタイツ姿なのに。 12月、ブリヂストン美術館・土曜講座で 「中世ヨーロッパでスカートを履いているのは男性のみ、 脚線美は美男としての象徴であった」と教えていただいたばかり。 そういえば、仏像もふくよかなのが多いですね。 肥満とまではいきませんし、当然タイツ姿も見たことはありません。 仏教人は脚を露出してはいけないのですか? 太っていることへのイメージがあまりよくないのはご承知のとおりです。 動きが鈍い、あまり切れ者ではない、とか。そんなことはないような気がします。 勤めていた会社で巨漢No.1の地位を争うNさんとTさんは二人とも相当に頭が良かった。 特にNさんの方は、30代で既に将来は社長と自他ともに認めていたほど。 同期の中でも一番先に部長に昇進し次のステップへの定石を打ったところで、 訳あって退職。 しかし、もはやこれまでと思われていた彼はすぐに業績がうなぎ上りの パチスロの会社に転職。 一年も経たないうちに企画部長になりました。 やっぱり、抜群の頭のよさと勢いがあったのだろうと感心します。 両名に六本木のしゃぶしゃぶ食べ放題の店でご馳走になったことがあり (同伴した綺麗な後輩が狙いでした)、 酔いの回った私は「デブは嫌い、キタナイ、あっちへ行け」などと暴言しました。 Nさんが扇子を振り回しながら「お姉さん、勘弁してよ」と笑顔で応えてくれたけれど、 本当は悩んでいたのかも知れないのに、悪いことをしたとちょっぴり反省しています。 絶えずセピア色に変わった青年期の写真を定期入れに収めてそれを披露し、 自分は根っからの肥満ではないと主張していました。 彼の弁によると、後天的デブの人の顔は、鼻は当然、目、眉、頬骨などのパーツが 中心部に集中している、頬っぺたの外側ところから肉付きが豊かとのことです。 Jプレスの首回り44のワイシャツをプレゼントすると言って置きながら、 その後約束を果たしていないことが気がかり。 体重5キロつき、増やすのに100円、減らすのに5万円かかるという説があり、 私も散々試しましたので、素直に納得してしまいます。特に女性にとっては深刻です。 まず、何よりも実際に着る物が困る。 先ほどのデパートでも、品揃えはせいぜい11号、13号くらいまで。 確かにビックサイズばかりを集めたコーナーは存在します。 《小さいサイズのコーナーは「パールサイズ」という可愛らしい名前なのに、 大きい方は「ユアサイズ」という御座なり具合です。 せめて、「オパール・サイズ」とでもつければなどと、 オヤジギャグで一人盛り上がっています。》 けれど、売る側も相当に腐心しているに違いありませんが、 それでも満足のゆくデザインの大き目の服はまだまだ少ないと思います。 無理をして9号のスカートを息を吸うのと同時に気合を込めて ウェストのフックを留め、食事後など苦しいのを我慢しているのです。 かろうじて留まっていても、バイヤス地を使っていない限り芯のところが 横に線が付いてしまったり。。。 昔、英文速記(PCができてから誰もやらない業務になりました)のテストで シーンとした中、くしゃみした瞬間、私の金属鎖式のベルトがばらばらに宙を飛び 、大笑いされたことがあります。 仕方がないから、プリーツタイプ (収縮性のあるミヤケ・イッセー風の、あくまで“風”がポイント)の ポリエステル・ブラウスやゴム入りのスカートで間に合わせますと、 今度は膨張した布地の下に潜む体の線も際立つので、 ますますオバハン臭くなってしまう、 太っている人の中にはおしゃれな人もいっぱいいるのに。残念。 とにかく、ダイエット・ビジネス市場は拡大する一方。 Hさん、我が国の個人長者番付一位は3年続けてダイエット食品会社の社長さんです (この10年間は納税者ベスト10から外れたことがない由)。 減税策のために法人分に振替えているのかも知れませんが、 IT企業の経営者でも業績のよい安売りスーパーの社長さんでもないのです。 商売の上手さ、営業戦略も市場に適ったものなのだと想います。 だって、その会社の主力商品名も前述のデパートとは違って、 ずばり「スリムドカン」、 これは女性には受けますよ。明確で嫌味がないもの。 祝500万本売上突破。 成分はお茶とかはと麦とかです。 国内に限らず先進国はみなダイエット、ダイエットで夢中です。 日本はバイオが進んでいるのだから、この分野で世界を席巻したら 再生できないだろうか、と真剣に思っております。 下世話なお話ですが、その「スリム〜」の価格は80gで5,250円、 165gの“お徳用”は10,500円、ということは1gに換算すると63.6円〜65.6円、 すごいなあと思います。 昨日、喫茶店でお隣に座った方にいただいたヴェトナム産伽羅は1g=7〜8,000円、 いったいコカインの末端価格はいくらくらいなのだろう・・・ 因みに、インターフェロンの注射1本(600mg)は12,000円くらいです。 ウーン、それぞれ比較しようもないものです。どれが高いか安いか判断はつきません。 ダイエット食品といえば、 いつも通っている路地の漢方薬店でも多種多様なものを扱っています。 入店したことはないのですが、先ごろお店の前に2つの幟が立ちました。 目立つように、ショッキング・ピンクとオレンジ色地に大きな黒インクの文字。 ピンクの幟には「肥満症」の文字が躍り、 ショーウィンドウの中に積み重ねられた減肥茶の箱の上にユーモラスな 豚君のフィギャーが鎮座しています。 そして、もう一つの幟には「不妊症」と書かれています。 組み合わせが悪すぎる。 その症状に真剣に苦しむ女性にとってはたまらないことだろうと思います。 そのお店(この店の名前は「誠心○」なのに)を通るたびに 嫌だなあと感じるではないかしら。 普段何気なく見ているものでも、考えられない組み合わせがあります。 産科と婦人科(両極端なものです)、 モーテルと結婚式場(これも不思議、うまく行くケースは良いけれど・・・ 目黒駅付近で見かけました)、 私の飲むお酒と安定剤、etc. ブラック・ユ-モア。 肥満に対しては、私を含め、女性は実に神経過敏。 辛口の韓国人作家・呉善花さんは「スカートの風」(だったと記憶)の中で、 痩身術も垢すりも男尊女卑社会で育った長物と言い切っています。 ですから、挨拶代わりに「太ったね」などというものなら、その怨念は大変なもの。 殿方はゆめゆめ軽い気持ちでおっしゃらないようにしていただきたいです。 口にする際は5倍返しの応酬があることを覚悟してください。 そして同性には全く意地悪です。 特に小太りで努力の末3-5Kg位減ったりして、ハシャイでいる婦人は一番いけない。 明らかに痩せられない人の前で、どうしたら痩せられるのか熱心にアドバイスしたり、 そして究極は「私はデブだから」(と本人は思っていないくせに)と言って 優越感に浸る。 頭の悪い人間が自分より劣ると感じる人を馬鹿にするようなものに通じます (私自身、Mさんに一度ご注意を受けました。ホントに低脳なんですね。) これは、年齢には関係ないようです。怖い、怖い。どうぞお気をつけあそばせますよう。 再び冗長な手紙となりました。 オシマイ。【内気のレッテル付きT.S.より】 |